ナカムラマコトの世界 / Мир Макото Накамуры

漆工芸家「中村真」の作品と展示情報を主に、かつて暮らした中央アジアの風景と工芸にも触れていきます。

上流の村

Posted by nakamura.m on  

ハプル4

ハプル1

 「村まで送ってくれたらウチの村にある古い工芸品をたくさん見せてあげるよ。」という村人の案内で、インダス川左岸のハプルの街を出発すること2時間。
「ハプルの街から目と鼻の先の村だから。」という言葉を真に受けてみれば案外と長い小旅行に。
長い吊り橋を渡り、車の下をごりごりこすりながら河原をひたはしると目的地のバラパイン村である。
村の中心に到着するやいなや彼は「ありがとう。」と言い残し、そそくさと家に帰ってしまいました。

ハプル5

ハプル12


 バラパイン村はインダス川右岸の河原にある集落。荒れた河原を住民が手を加え、ポプラ並木や果樹園や花畑が美しい穏やかなところ。青く澄んだ水を貯めた池には鱒のような魚がすいーっと泳いでいる。
しかしいくら穏やかであっても、荒れた河原であることには変わりようはなく、時折強烈な砂嵐が襲って来る。

ハプル2

 たまりかねて何度目かの砂嵐から手近な小屋に避難したのだが、丁度都合がいいことにその小屋は村の資料館。
堆積していたのか、今降り積もったのか、ともかく砂だらけの木や石から作られた古い食器類を中心とした生活工芸品を見ることが出来ました。

ハプル17

ハプル11


 ここの展示品は、どれもが摩耗した丸みを帯びた形をしていて、優しいフォルムを見せているのだが、砂嵐がその摩耗の理由ではないくらいに摩耗をしているのがどうにも気になってしまう。
「この村では食事後、器を洗うのに研磨剤として河原の微粒子の砂で磨いているんですよ。」と管理人は教えてくれる。
 つまり、異常なほどすり減っているその丸みは、人の手によるものだったというわけ。土地の理に適った手入れの仕方は、自然と人との共作として優しいフォルムを生み出してきたのですね。
 工芸作家として、美しいものを目指して制作活動をしている私にとって、人の行為が自然に挑んでいるのではなくて土地と一体化しているということや、うつわは使って育ってゆくことなどをあらためて気づかせてくれるというか、ともかく私は心動かされることになりました。

スカルドゥ12

ここ、そこにあるものを活かしての工芸と生活を垣間見れたバラパイン村。ちょっといいように利用されたとしても来てみてよかったと思えた訪問でした。





スポンサーサイト

該当の記事は見つかりませんでした。