ナカムラマコトの世界 / Мир Макото Накамуры

漆工芸家「中村真」の作品と展示情報を主に、かつて暮らした中央アジアの風景と工芸にも触れていきます。

川沿いの話

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砂金テント5
 モハンマッド・アジムカーンさん一家は砂金・宝石採りを一つの生業としている。
 インダス川流域は、山肌に露出した貴石を豊富に含む鉱脈が氷河に押され、こぼれてきた金目の物がちょこちょこ流れて来るというわけ。
雪解けの3月から初夏の6月にかけて、テントでの移動生活をしながらの労働。
「水が温む時期だけの仕事です。」とはいうものの、氷河が目前に迫った水は真夏でも氷水そのもの。肉体的に辛い仕事ですね。
 一家は生粋の流浪の民ではなくて、実は北方フンザの中心の町ギルギットに持ち家があるという。女性と幼児達は畑仕事担当とのことでお留守番。皆で支え合って一族が生きている。

砂金テント2
砂金テント1


 「コツというか。。拾うには特に難しい事はありませんからねぇ。」と昨日とれた金の粒をひとつ見せてくれた。
濁って早い流れの中で、これを見つけるというからその集中力と選別眼は驚きに値する。
昨日は1200パキスタンルピーくらいで取引される量を回収したというから悪くない商売である。

砂金テント4


 河畔でのテント村を営む彼らに、昨今の頻発するインダス川流域の記録的な洪水が心配。
影響はあるだろうけれど、あんなに逞しく生きている彼らならなんとか大丈夫だろうと思ったりしているのだが。

(中央アジア民族造形調査/パキスタン)

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村の工房訪問

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フンザ工房1





パキスタン北方、ハサンアバード村の楽器工房にて。

ムラードベックさんは1934年生まれ。
昔、この地域一帯を支配した王国の都スワートで楽器作りの修行をしたそうだ。
今年で独立してからもう51年になるとのこと。
「俺ほど上手に楽器を作れる職人はいない。」と言い切ったあたり、見た目は穏やかなのにけっこうギラギラしているんですね。

もう一人、工房には職人がいる。
本職は道具屋さんのラジカーンさん。年齢は記憶をたどって、きっと60歳。
「あの立派な王様が治めていたときに私は産まれたって聞いたよ。だから60年前くらいかな。」とのこと。
王様の存在が暦になるような、まるで中世そのものの世界がついこの間まであったのが中央アジア。

ラジカーンさんが手がけているのは、日本に渡ってなぜか “チャルメラ” とポルトガル風に呼ばれるようになった木管楽器の、中央アジアでは “スルナイ” と呼ばれる楽器を製作中。

フンザ工房




道具に目を移せば、すべて自分でしつらえている。
例えば金属のヤスリはただの鉄棒に刻みを入れて、焼き入れしたものである。
その他の道具も同様、手間をかけてしつらえた分なにか堂々とした佇まいで出番を待っている。

フンザ工房2


ムラードベックさん曰く、「ここら辺は村ごとにいろんな民族が住んでいるでしょ?だから文化も違うのが面白い。音楽、言葉、詩、表現したい音の範囲も違う多様性に対応しないといい仕事ができないんだよ。」と。
一度村から出て広い視点を獲得した人らしい見解に、村から出たことのないシャイなラジカーンさんは目をキラキラさせてただうなずく。


フンザ工房3




この工房での作業は、注文制作よりも周辺の村から持ち込まれた楽器の手入れや修理が多いとのこと。
納屋を見回してみると、中には何世代も受け継がれてきたような、まるで妖怪のような佇まいの楽器も修理の順番をじっと待っている。
この弦楽器もやがて、伝統に則った修理をなされて、ふるさとの村に戻り、大切にされ、昔と変らぬ曲を奏でることになるのだろう。

フンザ工房4


お話をひとしきり伺ったあと、ムラードベックさんは作業に移る。
工房に張り出したテラスで「ドーンドーン」とリズミカルに太鼓の鳴り具合の調整をはじめた。
するとほどなく、どこからともなく小さな仲間達が集まってきた。





“モックリン”の話

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瓢簞合子


”皆さんは雲を見たことはおありでしょう。でも、雲が産まれる瞬間を目にしたことは、案外記憶にないかと思いますが、いかがでしょうか?”

のんきなかたちの瓢簞を、これまたのんきにポカンと雲を頂に浮かべる丘に見立て、蓋物漆器を作りました。

実際にそのような丘って、中央アジアやチベットで目にすることが多いのです。

内側はボカシ塗り。手のひらの中に自然の大きな広がりを感じていただければ嬉しいです。
コンペイ糖やお茶入れに。

作品名:瓢簞合子 “モックリン”
サイズ:高11センチ×径7センチ
素材:瓢簞、漆、木材
技法:瓢簞造形、木彫、ぼかし塗り(内側)

図工の時間

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松戸瓢簞展示


「松戸市21世紀の森と広場パークセンター × 松戸瓢簞村」講習会のおしらせ

 夏休みの企画として恒例となった、21世紀の森と広場パークセンターでの瓢簞作品の講習会を担当します。

内   容:手のひらサイズの瓢簞をアレンジした、装身具「ブローチ」「ネックレス」と、文房具「ペイパーウエイト」「マグネット」作り(選んで1点)
材 料 費:1000円
持参する物:エプロン・切り出し刀(大型カッターでも可)

日   時:8月1日(日)13:30〜15:30
会   場:21世紀の森と広場(松戸市) パークセンター管理棟2階
申 込 先:上記迄(TEL 047-345-8900)


“そだてるうつわ”の話

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そだてるうつわ


この作品は ”そだてるうつわ” といいます。

白木のうつわは、使う程に風合い豊かな経年変化を楽しむことが出来ます。
生活とうつわの、共に過ごした日々の瞬間を記憶するかのように。
その時間の中で、割れが出たり歪んでも、それはそういうものなのです。
全てを受け入れそだてていきましょう。

ゆったりした、のどかな時間の流れる中央アジアの山岳地帯の集落では、いまもこのようなうつわが日常に使われているのです。

タシケントで過ごしたある春の午後、田舎の素朴なおやつ風に、胡桃を砕いてはちみつをたらして、ナンにのせていただきました。
そして、この日もうつわは少しだけそだちました。

そだてるうつわ2


作品名:そだてるうつわ
サイズ:高6センチ×径16センチ、その他
素材:木材(胡桃・桑)
技法:轆轤造形、白木仕上


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